「座って話しているだけに見えるけど…」小児STのセラピー、実はめちゃくちゃ疲れます
「座って話してるだけ」に見えるのに、夕方には体力ゼロ…
小児言語聴覚士(ST)って、外から見ると、
- 「子どもと座って話している」
- 「楽しそうに遊んでいる」
そんなふうに見えることがあるかもしれません。
でも、実際には1日に何件もセラピーが続くと、私は終業時にはヘトヘトです。
- 「自分って体力がないのかな…」
- 「要領が悪いのかな…」
そんなふうに思ったことがある小児STもいるのではないでしょうか。
私も、以前は「なんでこんなに疲れるんだろう?」と思っていました。
そこで今回は、私なりに小児STのセラピーが疲れる理由を考えてみました。
なぜ小児STのセラピーは、こんなに疲れるんだろう?
一見すると「座って話している」「子どもと遊んでいる」ように見えるセラピー。
でも、その間、STは子どもの様子を観察しながら、次々と考えたり判断したりしています。
STの仕事は、外から見ると何をしているのかわかりにくい部分もあります。
特にコミュニケーションのセラピーは、目に見えにくいことばかりです。(構音や摂食は口の動きなど目で見える変化がありますが、コミュニケーションは特に見えにくいですよね)
だからこそ、保護者や他職種に「何をしているのか」を説明することも、STの大切な仕事なのだと思います。
では、実際にセラピー中に何をしているのか。
私の場合は、こんなこと考えています。
子どもをずっと観察している
子どもの視線、表情、発声、姿勢、手の動き、興味の変化などを、ずっと見ています。
- 「今、何に興味を持っているかな?」
- 「次は何をしよう?」
- 「どんな言葉をかけよう?」
- 「今の声かけには反応しなかったな」
など、その場でいろいろな情報を拾っています。
その場で判断し続けている
- 「今の課題は難しすぎたかな?」
- 「もう少し簡単にしよう」
- 「この教材は今日はあまりはまらないな」
- 「別の方法に変えてみよう」
など、子どもの反応を見ながら、その場でセラピーを修正しています。
あらかじめ準備した内容を、そのまま最後までやればいいわけではありません。
子どもの反応に合わせて、その都度考えていく必要があります。
子どもと保護者、両方とコミュニケーションする
子どもへの声かけをしながら、保護者にも状況が伝わるように説明する場面があります。
子どもとのコミュニケーションだけでなく、保護者とのやりとりも同時に考える。
これも意外とエネルギーを使いますよね。
次の子への切り替えがある
セラピーが終わっても、そこで一日が終わるわけではありません。
片付けをして、記録をして、次の子の準備をして…。
インターバルが5~10分しかないこともあります。
押してしまった日は、本当に時間との勝負です。
「座っている=休んでいる、楽そう」
ではないんですよね。
こう考えると、1日に何件もセラピーをすれば、疲れるのも当然なのかもしれません。
特に消耗するのは「考え続けるコミュニケーション」
STが関わる領域は、構音、摂食、言語、コミュニケーションなど多岐にわたります。
その中でも、私はコミュニケーションのセッションが特に「考え続けている」感覚があります。
セラピー中、頭の中では、
- 「この子の訓練、何をしようかな」
- 「前回これはあまり好きじゃなかったな」
- 「一人遊びで終わってしまったな」
- 「初めての子だけど、どんな子かな」
- 「この課題もうまくはまらない。どうしよう」
など、ずっと考えています。
さらに、子どもに合わせて自分の状態も調整します。
- テンションを上げたり
- 声の抑揚を変えたり
- ゆっくり話したり
その子に合わせて、自分の関わり方を変えていきます。
それが1日に何件も続き、さらに別の業務もある。
そりゃあ、終わった頃には「はぁ~」とため息も出ます(笑)。
「もっと力を抜いてやったらいいよ」
と言われることもあります。
でも、
「いや、その力の抜き方がわからないんです!」
ってなりますよね(笑)。
私も、まだ「楽にやる方法」は模索中です。
もしかしたら、完全に楽にする方法なんてないのかもしれません。
だからこそ、私は「自分の頑張り方を変える」というより、できるだけ脳の負担を減らす仕組みを作ることを意識しています。
少しでもエネルギーを残すために、私がしていること
毎日ヘトヘトになりながらも、できるだけ長く仕事を続けたい。
そのために、私が意識していることを紹介します。
「考えること」をあらかじめ減らす
教材は前日・事前に準備しておく
- 直前になって、「何を出そう?」
- 「今日は何をしよう?」
と考えると、それだけで焦ります。
事前にある程度準備しておくことで、当日の負担を減らしています。
カルテ・記録はできるだけ型を作る
- セラピーが終わった後に「何をしたっけ?」
と思い出すのも意外と時間がかかります。
私は、終わったら簡単にメモを残したり、定型文や下書きを作ったりして、できるだけ終業後の負担を減らすようにしています。
カルテに「次回やること」を残しておくと、次回の準備もスムーズです。
よく使う説明や言葉をある程度決めておく
保護者への説明なども、その場ですべてゼロから考えるのではなく、
- 「何を伝えるか」
- 「どんな順番で伝えるか」
をある程度決めておくと、少し楽になります。
もちろん、相手によって伝え方は変わるので、ここもまだまだ模索中です。
セラピーの合間に「情報を減らす時間」をつくる
インターバルが10分しかなく、さらに時間が押しているときは、本当に余裕がありません。
それでも、できる範囲で、
- 深呼吸する
- 場所を少し変える
- 水分をとる
- トイレに行く
など、いったん仕事から意識を離す時間を作っています。
ほんの少しでも「切り替える時間」をつくることで、次の子に向かう準備をします。
そして、もう一つ大事にしているのが、
「完璧を目指さない」
ということ。
毎回100点満点のセラピーや、100点満点の対応を目指していたら、私の体力が持ちません。
- 「今日はうまくいかなかったな」
- 「もっと上手く説明できたかもしれない」
と悩むこともあります。
でも、
「次はもう少し上手くできるようにしよう」
と、いったん区切るようにしています。
基本的な生活を整える
最後は、すごく当たり前のことですが、やっぱり大切だと思っています。
- 食事から必要なエネルギーをとる(朝食は抜かない)
- 水分をこまめにとる
- 帰宅後はしっかり休む
- 好きなことをする時間をつくる
- 休日はできるだけ仕事のことを考えない
など。
セラピー中にずっと考え続けるからこそ、仕事以外の時間はできるだけ回復に使いたいと思っています。
まとめ:今日もよくやった!
小児STのセラピーは、座っている時間が長くても、
- 観察する
- 考える
- 判断する
- 声をかける
- 相手に合わせる
ということを、ずっと繰り返しています。
「こんなに疲れるのは自分だけ?」と思っていた時期もありました。
でも、周りのセラピストや先輩からも「疲れる」と聞くので、どうやら私だけではないようです。
もちろん、もっと効率よく、もっと楽にできる方法はあるのかもしれません。
私自身も、まだまだ模索中です。
でも、まずは今日ヘトヘトになった自分に、
「今日もよくやった」
と言ってあげてもいいんじゃないかなと思います。
そして、少しでも長く、健康にSTの仕事を続けていけるように…
自分の頑張り方を変えるだけでなく、準備や環境を工夫して、できるだけ「脳の負担」を減らしていきたいと思います。
この記事が、
「私だけじゃなかったんだ」
と思えるきっかけになったり、明日から少しでも楽に働くためのヒントになったりしたら嬉しいです♪


